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2024.11.11

デジタルヘルスが創出する新たな医療ビジネス – Apple Watchの事例

デジタルヘルスが創出する新たな医療ビジネス

目次

デジタルヘルスが創出する新たな医療ビジネス

デジタルヘルスが広まるにつれて、医療関連企業だけでなく、これまで非医療関連企業と位置づけられてきた企業でも医療業界に参入し、デジタルヘルスに関与する例が増えてきています。このような企業には、既存の医療の枠組みを取り払って新たな市場を作り出すことが期待されるものも複数あります。

Apple Watchは代表格、SaMDとして承認

近年、さまざまな企業が新たに医療業界に参入しています。

中でも有名なのが米・Apple社で、同社が販売している腕時計型ウェアラブルコンピュータといえるApple Watchは、医療業界でも非常に期待されています。Apple Watchのヘルスケア機能には、心拍数の測定、血中酸素濃度の測定、心電図機能、睡眠の計測などがあります。とりわけ、心電図機能の有用性については、2019年に臨床試験Apple Heart Studyで検証が行われ、話題となりました。

同試験は、米国在住の22歳以上の成人を対象に、iPhoneとApple Watchにアプリ「Apple Heart Study App」をダウンロードして心拍数を測定し、その経時的な推移を記録したタコグラムを作成。不規則な心拍リズムが検出されるとApple Watchに通知し、iPhoneのビデオ機能を用いて遠隔の医師に相談するよう促して、不整脈(心房細動)を検出するというもので、試験の基準を満たした参加者には携帯型心電図(ECG)パッチが郵送され、測定後にデータの解析が行われました。 試験には41万9,297人が登録し、そのうちApple Watchを介して不規則な心拍の通知を受けたのは2,161人、さらにそのうち450人が解析可能な心電図データを返却して解析が行われました。その結果、この450人のうち34%で心電図上に心房細動が認められました。

出典:N Engl J Med 2019; 381: 1909-1917

心房細動は脳梗塞の中でも重症度が高く、予後不良な心原性脳塞栓症という脳梗塞の発症要因となります。この心房細動は、発症しても日常生活では気づかないことが多く、また健康診断でも検査時に症状が認められなければ見逃してしまうことが珍しくないと言われています。心房細動発症のリスク因子には加齢があることから、心房細動とそれに起因する心原性脳塞栓症を予防する対策は、社会の高齢化が進むわが国の重要な課題となっています。

そのような中、Apple Watchの登場で、今まで身に付けていた時計をApple Watchに変えるだけで心房細動を検出しやすくなりました。これにより、病院外において時計(Apple Watch)で異常を検出して受診するという、従来であれば考えられなかったルートにより心房細動の患者さんが受診し、適切に治療介入することで脳梗塞発症を予防する新たな流れが出来つつあります。

なお、Apple Watchについては「Appleの心房細動履歴プログラム」「Apple の不規則な心拍の通知プログラム」「Apple の心電図アプリケーション」の3つが医薬品医療機器総合機構(PMDA)から医療機器プログラム(SaMD)として承認されており、日本でも利用可能となっています。

ドクターズでも医療機器承認/認証取得支援サービスを提供

ドクターズでは、Apple Watchのような事例を創出すべく、医療DXの新しいニーズに対応した医療機器承認/認証取得支援サービス「Doctors Hub™ MD」の提供を行っています。Doctors Hub™ MDは、医療機器ビジネスへの参入を目指す企業に対し、医療機器承認/認証の準備から医療機器を市場へ供給するまでに必要なすべてのプロセスを代行することで、大幅なコストダウンと一連のプロセスのスピード化を実現するサービスです。

ドクターズグループが有する製造販売業や製造業の許認可および各種申請に関するノウハウを活用するため、必要な人員や体制も含めて提供でき、企業はシンプルで体系立った費用負担のみで医療機器承認/認証の取得を目指すことが可能です。

現在、デジタルヘルスサービスに取り組むスタートアップ企業や大手企業などにおいて、様々な治療用アプリやクラウド対応デバイス等の開発が進められていますが、医療現場で本格的に活用されるためには、医療機器としての承認/認証を受ける必要があります。しかし、そのプロセスは複雑で、製造販売業や製造業の許認可の取得や、取得条件となる三役の配置など、多岐にわたる専門的な準備が求められます。そのため、デジタルヘルスサービスに新規参入する企業が、製品やサービスを医療機器として上市するには、多額の費用や長期の準備期間を要し、ハードルが高いという問題がありました。

デジタルヘルス時代に対応し、ワンストップで支援

ドクターズのグループ会社であるファーマックメディカルは、医療機器承認/認証取得のプロフェッショナルであり、クラスⅠ~Ⅳまでの医療機器およびプログラム医療機器に対応した全プロセスに関するノウハウを有し、医療機器を製造するための製造業として登録され、医療機器を市場に供給していくための製造販売業として認可されています。こうしたライセンスや知見を活用するとともに、ドクターズとファーマックメディカルが連携することで、デジタルヘルス時代に対応した、ワンストップで受けられる医療機器承認/認証取得支援サービスの提供が可能です。

 さらに、ドクターズは、医療機器承認/認証取得の前後で必要となるデジタルヘルスサービスの戦略支援からアプリやシステムの構築、医療機関への流通展開、患者さんへのオンライン医療サービスの展開も総合的に支援します。これにより医療機器承認/認証取得を目指す企業が出口戦略を見据えたうえで新規に医療DXサービス事業を推進していくことを後押しします。